買取の鶴岡

フィルムカメラはなぜ「失敗写真」すら価値になるのか

デジタル写真において、失敗とは明確です。ピントが合っていない、露出が外れている、構図が甘い。これらはすぐに確認され、削除されます。

そこには「残す理由」がありません。写真は結果であり、過程は記録されないからです。

フィルム写真では、撮影した瞬間に結果を見ることができません。

そのため、写真は「結果」ではなく 体験の一部として存在します。

これらすべてが、写真に付随します。

フィルムでは、ブレや露出オーバーは 偶然の表現として残ります。

意図しなかった結果だからこそ、写真は「出来事の痕跡」になります。

それは完璧な再現ではなく、 その場に居た証明なのです。

撮影直後は失敗に見えた写真が、時間を経て価値を持つことがあります。

それは、写真が 記録から記憶へ変わる瞬間です。

フィルム写真において失敗とは、排除すべきものではありません。

それは、 写真が生まれた過程を残す要素なのです。