公開日:2025年11月
最終更新:2025年11月
【CONTAX】Carl Zeiss Sonnar 90mm F2.8の魔法

【CONTAX】Carl Zeiss Sonnar 90mm F2.8の魔法 ― Gシリーズ唯一の中望遠が写し出す「孤高の描写」
1. はじめに ― Gシステムにおける中望遠の役割
CONTAX Gシリーズは、Biogon 28mmやPlanar 45mmといった広角・標準の銘玉に注目が集まりがちですが、Gレンズシステムの中で唯一の中望遠レンズとして存在する**Sonnar 90mm F2.8**は、特別な存在です。
GシリーズのAFレンジファインダーボディに装着されたこのレンズは、フルサイズ換算で90mmというポートレートに最適な画角と、Zeiss Sonnarならではの美しい描写をコンパクトなシステムで実現しました。今回は、この**「孤高の銘玉」**が持つ描写の魔法に迫ります。
2. Sonnarの設計哲学と「3Dポップ」の実現
「ゾナー(Sonnar)」とは、ドイツ語で「太陽」を意味し、少ないレンズ枚数で大口径化を実現するZeissの伝統的なレンズ構成です。
- **シンプルな光学系**:レンズ枚数が少ないため、光の透過率が高く、**クリアな発色と抜けの良さ**が特徴。Gシステムの他のレンズと同様、シャープネスも非常に高いです。
- **美しいボケ味**:F2.8という控えめな開放F値ながら、90mmという焦点距離が生み出す圧縮効果と相まって、背景を美しくぼかし、主役を際立たせる**立体的な描写**が可能です。
- **「3Dポップ」の増幅**:Zeissレンズ特有の、被写体が背景から浮き上がるような**「3Dポップ(立体感)」**。90mmの中望遠効果により、この立体感がさらに強調され、濃厚でドラマティックな写真を生み出します。
3. Gシステムでの操作性と速写性
一眼レフの中望遠レンズと比較して、Sonnar 90mm F2.8がGシステムで発揮するメリットは、そのサイズとAF性能にあります。
- **卓越した携帯性**:Gシリーズのボディに装着しても、一眼レフと中望遠の組み合わせと比較して圧倒的に小型軽量。携帯性に優れており、スナップからポートレートまで軽快に持ち運べます。
- **正確なAF**:G2ボディに装着した場合、特に中央一点のAFは精度が高く、中望遠レンズながら**速写性が高い**のが特徴です。動く被写体にも対応しやすい実用性を備えています。
4. 描写の比較:他社中望遠との違い
このレンズの個性は、ライカMマウントの**Elmarit 90mm F2.8**などと比較すると際立ちます。
- **Leica**:繊細で柔らかな階調、ニュートラルで上品な描写。
- **CONTAX Sonnar**:高コントラストでメリハリが効いており、**情熱的で力強い**ツァイスの個性が前面に出ます。特に、順光下での色の乗り方は圧倒的です。
このレンズは、淡々と風景を切り取るというより、**被写体との心理的な距離を詰め、ドラマを表現する**ためのレンズと言えます。
5. まとめ ― Gシステムを完成させる一本
Carl Zeiss Sonnar 90mm F2.8は、CONTAX Gシステムに**豊かなボケと圧縮効果**をもたらし、システムとしての表現の幅を大きく広げた一本です。Gレンズ特有のシャープネスとツァイスの立体感が融合したこの中望遠レンズは、Gシステムを単なるスナップカメラではなく、**本格的なポートレート・風景システム**として完成させるための魔法のレンズと言えるでしょう。
2025年11月08日
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