公開日：2025年12月
最終更新：2025年12月
CONTAX Gシリーズが示した「レンジファインダーの別解」― Leicaとはまったく違う進化ルート
CONTAX Gシリーズが示した「レンジファインダーの別解」
― Leicaとはまったく違う進化ルート
1. はじめに ― レンジファインダーは一つの答えではなかった
レンジファインダーカメラといえば、 多くの人がまずLeica Mを思い浮かべます。
しかし1990年代、CONTAXはその常識に真っ向から異を唱えました。
それが CONTAX Gシリーズ です。
Gシリーズは、Leicaを否定したわけでも、模倣したわけでもありません。 「まったく別の答え」を提示した存在でした。
2. Leica Mの思想 ― 人がすべてを制御する
Leica Mシリーズの思想は非常に明確です。
- ピント合わせは人が行う
- 構図は経験で決まる
- 撮影行為そのものが写真になる
カメラは極力介入せず、 写真の主役は常に撮り手です。
この思想は、長年にわたり多くの写真家に支持されてきました。
3. CONTAX Gシリーズの挑戦 ― レンジファインダーを“電子化”する
一方、CONTAX Gシリーズはまったく逆の方向を向いていました。
- AFによるピント合わせ
- 電子制御シャッター
- 自動露出との高度な連携
CONTAXはこう考えました。
「人がやらなくていいことは、機械に任せてもいい」
これにより、 撮影者は構図とタイミングに集中できるようになります。
4. なぜGシリーズは“レンジファインダー”でAFだったのか
CONTAXがAFレンジファインダーという難しい選択をした理由は、 レンズ性能を最大限に活かすためでした。
Gシリーズのレンズは、
- Biogon 28mm F2.8
- Planar 45mm F2
- Sonnar 90mm F2.8
いずれも非常に高い描写性能を持っています。
これを確実に活かすには、
- ピント精度の安定
- 高速な操作性
が不可欠でした。
AFは“楽をするため”ではなく、 描写を安定させるための選択だったのです。
5. Gシリーズはなぜ“孤高の存在”になったのか
Gシリーズは革新的でしたが、 後継機を生み出す流れにはなりませんでした。
その理由は明確です。
- 電子制御が複雑すぎる
- 製造コストが高い
- 思想を理解する層が限られる
Leica Mのように 「100年変わらない構造」にはなり得なかった。
しかしその代わりに、 唯一無二のポジションを手に入れました。
6. 写真体験としてのGシリーズ
Gシリーズで撮影すると、
- ピントに意識を奪われない
- 構図に集中できる
- 結果の安定感が高い
という体験が得られます。
これはLeica Mとは優劣ではなく、 体験の方向性が違うだけです。
Gシリーズは、 合理性を追求したレンジファインダー と言えるでしょう。
7. 今だからこそ評価される理由
デジタル全盛の今、 Gシリーズは改めて評価されています。
それは、
- AFなのに撮影体験が穏やか
- 電子制御だが思想が明確
- Zeiss描写が一貫している
という、現代の感覚に合った要素を持っているからです。
8. まとめ ― Gシリーズは“もう一つの正解”だった
CONTAX Gシリーズは、 レンジファインダーの王道ではありません。
しかし、 別の正解を提示したことは間違いありません。
- 人がすべてを制御するLeica
- 機械と協調するCONTAX
どちらが優れているかではなく、 どちらを選ぶかの問題です。
Gシリーズは、 レンジファインダーの可能性を広げた 重要な存在だったのです。
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